民泊新法の「180日ルール」と条例

投稿日: カテゴリー: 民泊・ゲストハウス

住宅宿泊事業法(いわゆる「民泊新法」)が成立し、来年施行予定のなか、観光業の方々はどのような具体的な規制がかかるのか、気になっていると思います。

 

民泊新法で特に懸念されている点として、年間の宿泊日数が180日を超えてはならず(法2条3項)、さらに自治体の条例により区域を指定し、その期間をさらに制限できるとされています(法18条)。

 

仮に180日がそのまま条例で規制されなければ、年間50%程度は稼働させることができ、事業として成り立たせることは比較的容易かもしれません。

 

一方、仮に90日以下として条例で規制された場合、年間25%程度までしか稼働させられないことになり、事業としては比較的厳しくなる可能性もあります。(ただし、年間90日としても、おおむね3か月、トップシーズンのみを狙い撃ちして行うという戦略も取りうるでしょう。)

 

改修費など投資した額を回収できるか、代行業者に依頼するか、利益率をどの程度想定しているか、といった事業計画や、賃貸か持ち家かなど、個別具体的な事情に基づいて判断する必要があるでしょう。

 

 

ところで、条例による上乗せを許容する住宅宿泊事業法第18条は、「騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは」としています。

この文言をそのまま素直に読めば、生活環境の悪化の防止以外の理由で規制することはできないと解され得ます。

つまり、既存の旅館・ホテルが立ち並ぶ地域において、「既存の観光業界を保護するため」といった理由は認められないと言えそうです。(「既存のホテルが宿泊客を取られ、売上が立たず、倒産してしまい、従業員の職場がなくなってしまい、地元住民の生活環境が悪化する」というロジックも考えられなくもないですが、生活環境の悪化の原因の例示として「騒音の発生」を挙げていることからすると、宿泊客が主体となって及ぼす事象(例えばゴミの放置、異臭など)でなければならないのではないかと考えられます。)

また、上記の文言に加えて、「合理的に必要と認められる限度において」としていることから、合理的な理由がなく、または必要がない極端な日数制限は、「合理的に必要と認められる限度」ではないとして、規制条例が民泊新法に違反すると判断される要素にはなるかもしれません。

(この点については、有名な「徳島市公安条例事件」最大判昭和50年9月10日参照)

 

とはいえ、条例による規制をかける際には、「生活環境の悪化を防止するため」を表向きの理由とするでしょうから、あまり実益のある議論ではないのかもしれません。

 

「政令」による基準の発表が待たれます。