グレーゾーン解消制度で取り上げられた民泊

投稿日: カテゴリー: 民泊・ゲストハウス

民泊サービスの実施に係る旅館業法の取扱いが明確になりました〜産業競争力強化法の「グレーゾーン解消制度」の活用〜

 

民泊に関して、グレーゾーン解消制度を利用した上記の案件が発生しています。

グレーゾーン解消制度とは、経済産業省が行う、事業に対する規制の適用の有無を、事業者が照会することができる制度のことです。

法解釈に擬疑があったり、法令の要件に当てはまるのか当てはまらないのか不明確な場合、ビジネスを行おうとする事業者が規制の適用を受けるかどうかわからないという不安定な地位に立たされることになりますが、公的な意見を出してもらうことで安心してビジネスを行えるというシステムです。

 

特にベンチャー企業、スタートアップ企業にとっては、法のグレーゾーンが問題になることも少なくありません。

最近では、「CASH」や「VALU」といったサービスがネット上で物議を醸していました。

言わずと知れたAirbnbも、旅行業法に抵触するのではないか、といった議論もありましたが、旅行業法上の旅行業の登録をするか、民泊新法上の仲介業の登録をすることでクリアする流れになっています。

 

ただし、グレーゾーン解消制度を利用したことで事業者に不利な結論となって、かえってビジネスをやりにくくしてしまう可能性もあるので、この制度の利用は慎重に行ったほうがよいと思います。

 

さて、冒頭に記載したグレーゾーン解消制度での民泊案件では、

「コンビニエンスストア等にチェックインポイントを設け、そこで入手した電子鍵により玄関の鍵の開閉を行うスマートロックを活用した民泊サービスとして簡易宿所営業の許可を受けるに当たり、旅館業法施行令上、その宿泊施設に玄関帳場(フロント)の設置が義務づけられるか」

が問題となっています。

簡単にまとめると、コンビニなどで電子キーをゲストに渡すことができればフロントを設置しなくてもいいのでは?ということでよろしいかと思います。

 

しかし、今回の経産省の回答は、私からすると当然と思えるもので、グレーゾーン解消制度を利用した意義が見いだせませんでした。

 

ポイントとしては、

「旅館業法施行令はフロント設置を義務付けているか。」

だけだと思います。

 

これは、旅館業法施行令第1条第3項第7号において、

その他都道府県が条例で定める構造設備の基準に適合すること。
とのみ規定しているだけで、簡易宿所についてはフロントの設置義務を規定していません。
そして、各都道府県の条例において、フロントの設置義務を規定しているのであれば、それに従うということになります。

とすれば、都道府県の条例でフロントの設置義務を規定していなければ、コンビニで電子キーを渡そうと渡すまいと、フロントは設置しなくてもよいはずです。

 

ここは恐らく、グレーゾーン解消制度でなくても、直接厚生労働省に問い合わせれば同じ回答を得られたように思います。(もしかしたら念のために、事業者側が合法であることを書面で控えておきたかったのかもしれませんが・・・)

 

ちなみに、フロントの設置に関して特に話題にのぼる、平成28年3月30日に厚生労働省医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部長による通達「旅館業法施行令の一部を改正する政令の施行等について」があります。

 

この通達の第3の4において、

「玄関帳場等の設置について、宿泊者の数を10人未満として申請がなされた施設であって、要領のⅡの第2の3(1)及び(2)に掲げる要件を満たしているときは、玄関帳場等の設備を設けることは要しないこととするところ、改正の趣旨を踏まえ、簡易宿所営業における玄関帳場等の設置について条例で規定している都道府県等においては、実態に応じた弾力的な運用や条例の改正等の必要な対応につき、特段の御配慮をお願いする。

としていて、この通達が準用する「平成24年4月1日付け健発0401第1号厚生労働省健康局長通知」が、ビデオカメラの設置や管理事務所等において宿泊者名簿の記載を行ったり、そこから宿泊施設まで職員が案内するといった要件(ただし、これはあくまでも例示であり、「参考」でしかなく、「特段の配慮をお願いする」というのみで、都道府県に裁量があるような記載になっている)を満たした場合などを考慮し、条例でフロントの設置が義務付けられていても、フロントの設置を(都道府県が)免除することができるという運用となります。

 

私も、この通達を巡って保健所と協議をしたことがありますが、この免除が認められるためにはそれなりに説得力をもった事情・工夫が必要であると感じました(ただし、当然ながら自治体によって対応が異なるので、すんなり認められることもあるかもしれません)。

 

話を戻すと、今回のグレーゾーン解消制度での経産省の回答は、結局「管轄の自治体の条例を調べろよ」ということに尽きます。

 

これにより、宿泊者の確認等に必要な業務のICT化が進み、2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据えた宿泊施設の不足解消につながる多様な民泊サービスの提供が推進されることが期待されます

という締めくくりの文章ですが、「これにより」と言うほどではなく、また、影響力のある回答ではないと思われます。